「何を勉強すればアプリを作れるようになりますか?」AppBank アプリ担当の仕事に興味がある方へ、私なりの回答。

最近、AppBank に入りたい!という声をたくさん聞くようになりました。ありがたいことに、まおさんのようにアプリを作る仕事をしてみたいです!というお声がけも少なくありません。

「何を勉強すればアプリを作れるようになりますか?」という質問をたくさんいただくのですが、一口にアプリを作るといっても、アプリが完成するまでには道のりがあります。その道のりの中で、何を担当するか?で勉強する内容は変わってきます。ですから「何を勉強すればアプリを作れるようになりますか?」に答えるため、AppBank アプリ担当が具体的にはどんな仕事内容なのかをまとめてみます。
※他の会社のアプリ作りがどうなっているか、私も詳しくないのであくまでも AppBank の場合ととらえてください。


AppBank が出しているアプリたちはこちら(追記できていない新作がいくつかあります。。)

私はプログラムもデザインもしていません!

まず、私は仕事でプログラムを書いたことは一度もありません。ごくごく簡単な php を書いたことはあったかもしれないのですが、それは到底プログラムで仕事をしている人には及ばないレベルです。

AppBank のアプリはデザインも評価してくださる声が非常に多く嬉しいのですが、デザインも私がやっているわけではありません。


では、私は何をやって「アプリ担当です!作りました!」と言っているのかというと、

アプリを作るのに必要なあらゆることを決める・アプリを作ることによって発生する副次的な作業をする

これを担当しています。


たくさんの人が使うアプリを作っていると、機能追加への要望や改善依頼が次々と飛んできます。AppBank は複数のアプリを出していますから、この数がアプリの数だけ増えていくのです。

これをプログラマさん・デザイナーさんそれぞれが「必要でしょ!」と思う順に作っていったら、アプリが目指すべき道がブレてしまいます。ユーザーさんに本当に使われている機能はどれか。今のアプリのユーザーさんに一番必要な機能はどれか。を見極めた上で、次に取り組むべき課題(機能追加など)を決める必要があります。もちろん事業なので収益性なども考えて、後回しにせざるを得ない案件もでてきます。

そこで私の出番です。複数ある課題の中から、緊急性・実現可能性・収益性などを考慮して、優先度をつけ、より多くのユーザーさんに喜んでもらえるものをピックアップします。

そして、必要な作業をデザイナーさんに頼みます。頼む方法はいろいろあるのですが、「○○やっといてー」だけでは私が何を考えているかということは絶対にデザイナーさんに伝わりません。ですから、画面のここにこれが欲しいということをノートに書いたものを見せたり、それを追加したい目的などを伝えたりします。デザイナーさんはプロですから、私が想像していたものよりもずっといい案をいただけることもあります。

途中経過でプログラマさんの意見も求め、実装するときに問題がでてこないかを確認しながら進めます。

デザインが形になったところで、次はプログラマさんのターンです。画面があっても決めきれない動きなどは、実際にアプリを触りながら決めていきます。もっと細かい仕様まで落とし込んでから実装しようよ…という話もあるのはわかるのですが、今のごく少人数・常に複数プロジェクトをまわしているという体制では、「その場で動くものを見ながら話し合い、最終を私が決める」が一番早く、それを採用しています。
また一緒に仕事をしているプログラマさんが優秀で、彼らの思う「よい動き」が私のイメージとかなり近く、最初から細かく決めなくても精度が高いというのも理由です。

私はプログラムもデザインもしていないのですが、このようにアプリ作りに関わっています。

アプリの中のコンテンツを調達する

デザインとプログラムが済んだらアプリがリリースできる!というわけではありません。

例えばパズドラ攻略アプリは、アプリ内にコンテンツ(情報)があるからたくさんの人に支持してもらえるのです。攻略記事・モンスターデータ・開催中ダンジョン・イベントのニュース・イベントカレンダーなど、様々な情報を提供しています。

パズドラ攻略
カテゴリ: エンターテインメント, ゲーム, パズル, アドベンチャー
販売元: AppBank


ではこのコンテンツをどうやって調達するか。さすがにこの大量の情報をすべて私が一人で調査・準備するのが無理であることはすぐに理解していただけると思います。(上記でも書きましたが、複数のプロジェクトを同時にやっていますので。)

では、私は何をしているのか?パズドラ攻略の場合には、情報を更新する攻略班があります。そのメンバーに、いつ・何の作業をしてほしいか連絡し、作業後の報告を待ちます。作業完了後、確認を私がして、きちんとパズドラ攻略のユーザーさんに情報が届けられているなということを見届けます。

パズドラ攻略は数人スタッフがいるので、私が確認役となることも多いのですが、自分で作業するものももちろんあります。


このようにアプリをリリースする前のコンテンツ調達・リリースしたあとのアプリ運営を行っています。

アプリをたくさんの人に知ってもらう

アプリが出てからもやることはまだまだありますよ!
たくさんの人に知ってもらってダウンロードしてもらうところから、アプリの人生は始まります。使ってもらってなんぼということです。

ですから、アプリリリースのタイミングで、紹介記事を AppBank のライター陣に依頼して書いてもらいます。それ以外のアプリレビューメディアに連絡して、レビュー依頼をすることもあります。
昔からお世話になっている個人のブロガーの方にも、そのときに出すアプリの内容とマッチしそうな方にはご連絡させていただいたりもしますね。

マックスむらいチャンネルの動画で新アプリを紹介させてもらうこともあります。

もちろん自分のツイッターやブログでも新しいアプリ出したよ!という宣伝は欠かせません。仲間の力を結集して一生懸命作ったアプリですから、一人でも多くの人に伝えたいじゃないですか。

アプリへのフィードバックを生かす

アプリがたくさんの人に使われる!これはすばらしいことです。ユーザーさんに期待してもらえると、いろいろなフィードバックがもらえます。

こういう機能が欲しい!アップデートでここが使いにくくなってしまった…とか。とにかくいろいろです。

アプリのお問い合わせはだいたい週に10本ぐらいメールでいただいているのですが、それの返信対応をしたり、アプリを即修正する必要があれば、またデザイナーさんやプログラマさんとの相談から始まります。

パズドラ攻略はだいたい1日に100本以上のタレコミをいただくので、そのすべてに目を通しています。データ更新は攻略班に依頼するのですが、それ以外にも応援のメールや機能追加依頼のメールなどもあるので、きちんと読んでいます。

機能追加依頼については上にも書いた通り、より多くの人が迷わずに使えるか・喜んでくれるかを基準に順番をつけて作業をしています。見てないということはありませんので、安心してください。

また最近はツイッターで要望や報告をいただくことも多くなりました。不具合などの報告の際には、OSのバージョンや、どんな操作をしてその状況に陥ったのかをあわせてご連絡いただけると対処しやすくなります。



私のアプリ担当としての仕事をまとめると、こんな感じです。

  • アプリを作るのに必要なこと(機能・見た目)を決める
  • アプリの中のコンテンツを調達し、それを継続して提供できるような体制を作る
  • アプリを広める
  • アプリへのフィードバックに対応する

ちょっとかっこよく言うと、アプリがユーザーさんに届くまでのすべての行程に関わっています。
上には含めてないですが、アプリが正常に動作するかのテストもやりますし、必要な契約を結んだり…。いろいろ細かい作業もあります。みんなが快適に働けるような環境・体制作りも私の仕事だなと考えています。


「何を勉強すればアプリを作れるようになりますか?」

アプリ担当の仕事内容がまとまってきたところで、冒頭に書いた 「何を勉強すればアプリを作れるようになりますか?」 に答えたいと思います。

まず、プログラムが得意なら、プログラマになる!というのはアプリ作りのわかりやすいルートだと思います。
ただ、質問をいただく方(中学生・高校生)のほとんどはまだプログラムにも触れたことはないと思いますから、本屋で iPhone アプリの開発入門書などを購入して、ちょっとやってみることから始めてみてはいかがでしょう。インターネットで検索すれば、いろいろな情報も手に入りますしね!高専に行くとアルゴリズムの授業もあるようですよ。うらやましい…

次に、デザイン。デザインの専門学校ってありますよね。アプリ専門ではないと思うんですが…ビジュアルを通して、何かを伝えるということを体系立てて勉強できるのは、これまたうらやましい限りです。もちろん技術も学べるでしょうし!

でも、アプリをリリースしている方の中には、プログラムもデザインもどちらも自分でやるという方がいますから、それぞれ特化した学校に行かなければアプリが作れないということではなさそうです。もちろんプロの道として仕事をするには、努力して磨かなければならないと思います。また、技術というのは常に進化しています。新しいことを吸収し続けながら、仕事で発揮していくというのがプログラマさん・デザイナーさんの本当に尊敬すべきところです。


私の仕事はどうでしょう。

私は働くずっとずっと前から、自分のサイトを作ったり、画像編集をしたり、パソコンを使って何かを作るというのは好きでした。自分のイメージするモノを作るために、ひたすら調べたり、工夫したり、研究したりしていました。パソコンがおかしくなると、寝ずに調べて、自分で対応可能なものは対応したりもしていました。
それは今振り返れば勉強なのかもしれないですね、当時は勉強だと全く思っていませんでした。ただ熱中していたのです。

学生時代には数学を勉強していたのですが、それが今この瞬間の仕事に役立っているかというと直接的には役立っていないと思います。プログラムもデータベースも授業があったので、少しはプログラマさんと話せる力にはなっているかなとは思いますが。

それよりも熱中して一人で勉強していたときの経験から、プログラムってこういうものだろうなとかデザイナーさんってこういう風に仕事しているのかな?という想像は、普通の人よりはできるかなと思います。

つまり、学校で何を勉強したかではなく、一緒に仕事をする仲間の仕事をある程度想像できるくらいに知識量があるということが大切なんじゃないかなと。


私が仕事をする上で大事にしていることは、一緒に仕事をする仲間がどうしたら仕事しやすくなるかということです。一緒に仕事をする仲間というのは、プログラマさん・デザイナさん・攻略班メンバー・AppBankライターなどなど。仲間の仕事が捗れば、アウトプットは増えますよね。

相手によって、頼み方を変える・私が決める範囲を減らし、相手の自由度を大きくする・スケジュールの調整をする・全体の優先順位と相手のタスクを把握して調整する…

こういうことは、先にも書いたように、初歩的なことでもいいから、相手の仕事を理解できるだけの知識量がなければ難しいでしょう。
また、仕事をしながらいろんな人とコミュニケーションしなければなかなか身につけづらいことかなと思います。この人はこういう風に仕事に向き合っているから、こんな風に頼んでみようかな?とかいきなり工夫できる訳ないじゃないですか!私も最初から出来ている訳ではないですし、今の状態でも合格点かどうかまだ自信はありません。


今日は唐突に自分の仕事を説明してみました。できるだけ噛み砕いたつもりですが…来年、この文章を読んでみて「こういうところ、気をつけるようにならなきゃダメだろ!」とツッコミをいれられる自分になっていたいですね。もっと成長したいです。

仕事というのは続けていくと自分の型というものが出来てくる気がします。全く別の分野の仕事をしていても、あれ?あのときと同じ型だわ。だからこう解決しよう!というのが見えてくるのです。当面は、今出来ることを一生懸命して、たくさんの型を持てるようになりたいなと思っております。



AppBankに入社した直後の記事はこちら

最後に、新作アプリを紹介して終わりましょう!
マックスむらい 〜【毎日更新】マックスむらいチャンネル・むらい日記が読める!〜
カテゴリ: エンターテインメント, ライフスタイル
販売元: AppBank



※追記しておきます。
AppBank のアプリ担当と名乗っている私に、直接ツイッターなどで質問してくる中高生が使う表現が「何を勉強すればアプリを作れるようになりますか?」なのです。私の仕事の詳細がディレクションだとかプロデュースだとかそういうことを知らない人からの質問です。ですから、アプリ作りには、デザインやプログラムだけでなく、ディレクターみたいな仕事もあるよ。私がしているのは、そういう仕事だよ。と噛み砕いて書いたつもりです。技術的なものを期待されて見に来てくださった方、申し訳ありません。