コスメカウンターって、ちょっとドキドキする。
デパートの1階にある、あのキラキラした場所。
気になっていたファンデーションが12色もあって、どれを選べばいいか自信がなくて。
その日はなんだか「ちゃんと選んでみたい」気分だった。
そこで少し勇気を出して資生堂のカウンターで美容部員さんに声をかけてみる。
まずは、わたしが買いたいと思っていたエッセンス スキングロウ ファンデーションの特長を説明してくれる。
「このファンデはツヤ感が強くて、うるおいもキープしてくれます。でもその分、カバー力は控えめなんです」って。
それを聞いたあとで「お求めの仕上がりはこれで合ってますか?」って、他の商品との比較を見せながらちゃんと確認してくれる。
この“念のため”のひとことが、すでにちょっと気持ちいい。
そこから始まる、肌との対話タイム。
機械でほっぺの色を測って、次は首。
「首の方が少し黄みが強いけれど、全体としては黄みと赤みのバランスがいいですね」
そんなふうに言われると、自分の肌ってけっこう素直なんだな、って思えたりする。
「乾燥が気になりますか?」と聞かれて、年齢もあるし…とこたえると、
また機械が登場。今度はお肌のキメをチェックする。
ディスプレイには肌年齢と、肌のキメ模様。
「素肌きれいですよ、でもちょっとキメが壊れてる部分も見えますね」
そうやって、褒め言葉と事実とをセットで伝えてくれるプロのバランス感覚、受け止めやすくてありがたい。
ここからは、実際にファンデーションを試してみる時間。
もともとついていたメイクをクレンジングウォーターでやさしくオフ。
それだけでちょっと緊張がほどけるのは、プロにゆだねる気持ちよさがあるからかもしれない。
そのあと、おすすめの化粧水、美容液、クリームを順番に塗ってくれる。
おしゃべりしながらティッシュで水分を軽くおさえて、「うるおい、どうですか?」と声をかけてくれる頃には、なんだか肌も心もやわらかくなっている。
いよいよ本命のファンデーション。
「この斜めのカットでまず広げてくださいね。で、こっちの平らな面で…くるくる、やさしく肌を磨くように。」
うすく、丁寧に。まるで、自分をいたわる所作を学んでいるようだった。
仕上げに、わたしがその日つけていたアイシャドウに合わせたチークを選んでくれて、顔がふわっと整う。
鏡を見た瞬間、思わず「わ〜」っと声がもれた。
思ってたよりもずっといい。
その日は、ファンデーションと一緒に、下地とブラシ、ブラシクリーナーまで購入。
ひとつひとつのものをちゃんと理解して、納得して、選べたのがとても気持ちよかった。
デパートの1階で過ごした時間は、
「モノを買う」というより、「自分を大切にする」体験だったんだと思う。
なんでもない日だったのに、なんだか特別な休日になった。